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『The horse in motion』

2018.03.22

 

『The horse in motion』

75×160cm(変型サイズ) ※リーフレット掲載作

ニューヨークの川岸にあるヴィンテージのメリーゴーランド『Jane’s Carouse』です。

2017年の12月展示のためにニューヨークへ行きました。

早朝にブルックリンブリッジを渡ってたどり着いた公園にはまだ人も疎らで、ジョギングする人や犬を散歩する人とすれ違う程度。

川を挟んだ向こう岸には、天高く積み上げられ、神なるものへ近づこうとしているような建築群の摩天楼があります。摩天楼と結ぶブルックリンブリッジの袂の公園にあるのが、透明なボックス型の建築に収められたヴィンテージのメリーゴーランドです。

メリーゴーランドは、電飾や沢山の絵で飾られており、躍動的で装飾的な馬と馬車は心踊る造形でした。

喧噪な都会と切り離された静かな場所にあって、子どもたちの痕跡を感じる場所でした。

 

画面に描いた透明な結露のレイヤーには、ラスコー壁画に描かれているようなプリミティブな形の馬が駆けている姿が見えます。野性的な形態とは対照的に統制された競馬馬のように翔る動きは、幼子が成長とともに育みながらも失っていくもののイメージです。

 

イギリス生まれの写真家エドワード・マイブリッジ(1830-1904)が、世界で初めて馬の動きを撮影した、高速度撮影『The horse in motion』引用しています。

※この連続写真を見たトーマスエジソンは大いに触発され、後に映写機キネトスコープを発明することになる。( ※wikipediaより)

結露の作品で行なっている画面に奥行きと深度を作るレイヤー構造は、

モニター越しに溢れた情報を各個にレイヤーとして重ねていく、現代に暮らす私たちのモニター越しに繋がっていく世界を現す方法であり、趣深い空間を作っていく日本絵画の構造を踏襲しながら、現代に更新していく手法です。

 

寒暖の差によって生まれる結露は、変転しながら繰り返す水の形の一つであり、大気を満たす水の表現は日本絵画における余白の美の心髄です。

私にとって結露は、目には映らない劇的な差によって生み出される、美しい世界の営みを現す象徴なのです。

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