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hanagaki

2018.04.18

『hanagaki』

100号P

 

葦原を背景にして、干潟で休む野鳥の群れや、小さなカニが掘った穴を横目に歩いている少年です。

画面表面には水滴の質感があり、指でなぞったような子供のラクガキの図があります。

ラクガキは実際に息子と一緒に紙と墨をつかって落書きをし、その中にあった美しい形を採集して作品に落とし込んでいます。

結露の描写は、岩絵の具によって水滴の定着を試みたオリジナルの技法です。質感は現象を捉えていますが、角度を変えると見えなくなるようになっています。

全面に錫箔を貼り、上から銀箔を使って描写することで、鏡面のような仕上がりにしながら、別の材質の銀色の金属によって光の反射率を変えて、こちらも角度で消えるようになっています。

銀箔はいずれ錆びて黒くなるので、図像がはっきりと見えてくるかもしれません。

 

 

奥に広がる景色は人工的で作為的な世界、干潟は人為が加わった中で出来上がったもので、自然でありながら人工物であり、人為と自然とが混在していて美しいと感じます。

表面の結露に描かれたラクガキは、空想の世界でありながら実体を得た存在で、実在か架空か段々とわからなくなっていくような、世界の儚い美しさを投影して描いています。

 

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