Concept
Sunlight filtering through leaves: a miracle of the visible.
All light hints at the unseen, primeval source of the natural world.
It not only represents aesthetic beauty, but a moral attitude and the soul of the Japanese; one sees the eternal in the transitory illumination, a fading permanence. A metaphor of ephemeral life.
2023.01
木々の葉の隙間から差し込む陽光:それは目に見える奇跡ともいえる現象。
すべての光は、目には見ることのできない自然界の根源を称えほのめかす。
光は古来より、神聖なるものの隠喩であり、人々を照らす慈しみや救世の象徴として描かれてきた。岡村は移ろう光を画面に留めることを試み、光と表裏関係にある陰をも自然界のシルエットを通して表現する。
光が混ざり合って白色光となるように、色彩は混色を一切せず、単一の色を混在させることで自然界のプリズムを画面上に再現。その画面奥から溢れ出す光の粒子。
それは見ための美しさだけではなく、日本人の道徳的な振舞いと精神性、即ち束の間の明るく降り注ぐ光の中に永遠と、消えゆく不変性を見るという本質を表している。
2023.01
The moon is a porthole; a window through which one looks at the deep nature of being and into oneself simultaneously.
Its simplicity of form empties the mind of superfluous thoughts that obscure and hinder introspection.
A circle is made of a simple stroke in a single uninterrupted gesture, like the path towards Zen meditation.
This conciliatory motion represents a masking of the ego and elicits a union of spirit.
As stated by the poet Sen no Rikyuu,“The moon’ s flood of silver light Chequers all the room, There’ s no need to be abashed If our heart is pure and clear.”
2023.01
月はまるで船の円窓;人はその円窓を通して本質と自己を同時に映し見る。
そのシンプルなフォルムは、内省を妨げる煩悩を心から取り除いてくれるかのように私達を禅の瞑想へと誘い、
海面に映る月は実態のないもの、すなわち見る者の心理を表す。
空にある月は、洗練された澱みない一筆で描かれた無を表す円相をも想起させる。
静寂な画面上に上った満月を眺めていると、己を見つめ内省を促す内なる引力に引き寄せられるかのように、心洗われるであろう。
軒の下
月光が差し込み
格子の影が部屋中に雪崩れ込む
当惑することは無い
心が清く澄んでさえいれば
千利休
2023.01
The transitory nature of things calls to mind what is beyond the physical: the everlasting.
These paintings capture the relative truth of one’ s gaze in its incompleteness.
A realm beyond the finite and orbiting forms symbolizes the universalistic impulse to aspire‒ as a single origin point gives rise to a line in Japanese painting.
2023.01
移ろう万物の本質は、物体や肉体を超越し、永遠に不滅である。見えないものの存在を描くことが日本画の本質であり、日本は古来から様々な文化、価値観、宗教を取り入れて新しいものを作り上げてきた。
この世界を構成する最小単位は点であり、その点の集合体で構成された軌道線は、人が作り出した最も美しいもののひとつである。軌道を周る惑星の彼方に広がる宇宙領域は、普遍的なその日本画の本質と生命の生きる渇望を象徴しており、まさに現在の宇宙観と日本画の世界観とが混在した、スーパーフラットの世界。
2023.01
Screens of dew on transparent surfaces: faces and images, elusive tracts of distant emotions.
Memories persist in their incompleteness.
The painter’ s brush is like a curious child’ s finger, conjuring shapes in the congealed vapor on the metaphorical windows of the soul.
Condensation is a temporary canvas generated by a difference of temperature.
As such, it can only appear when specific conditions are met. It shows and vanishes like the ebb and flow of humanity; one tries to understand the forces at work, but there’ s never a clear image.
The only way to glimpse the truth is through the tracings of children with their untarnished perspectives of the everyday.
2023.01
結露滴る透明なスクリーン、その先に見えるもの、それは捕えようのない遠い日の感情と曖昧さの中に存在し続けている人々の記憶。
岡村の筆は子供の指のように縦横無尽に走り、結露でできた儚い即興のキャンバスの上に無邪気な形が現れる。
描いては消えていくその形には、記憶の断片にあった幻、そこに居たはずの存在、儚くとも美しい人々の営み見て取れるかのよう。現れは消えゆく結露現象は、まるで現代の浮き沈み激しい混沌とした人間社会のようでもあり、ぼんやりとした結露の向こう側を見ようとするも、その本質は覆われていてはっきりと見えることはない。
窓を拭い伝う水滴もまた、同じ場所には留まらない生命と記憶のメタファー。
唯一その向こう側にある本質に触れる術があるとすれば、子供が無邪気に指で落書きをしたその隙間から、その曇りのない眼差しによってのみ、垣間見ることができるだろう。
2023.01